僕らが潰したクラブカルチャー

さて。ここ最近「風適法」と「ダンス禁止」の件が非常に気になっている。

「レッツダンス」の運動なんかは一応チェックもしてみたものの、なんかもやもやした気持ちになっていたのだけど最近ようやくそのもやもやの理由がわかった。

http://www.letsdance.jp/about/
請願事項

1、風営法の規制対象から「ダンス」を削除してください。

2、行政上の指導は、「国民の基本的人権を不当に侵害しないよう」に努め、「いやしくも職権の乱用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう」とする「第101国会付帯決議」(衆院1984年7月5日)や「解釈運用基準」(2008年7月10日)にもとづき適正に運用してください。

3、表現の自由、芸術・文化を守り、健全な文化発信の施策を拡充してください。

2と3なんかは「法にのっとってがんばって下さい」程度のことしか言ってないと思うので、問題は1だ。1にずっともやもやしたものを感じていた。結局「風営法」の改正だけが言いたいんだよね。
よくよく風営法も読んでみたが、ダンスは禁止されていない。別にどこでもできる。例えば盆踊りの会場は風営法の対象ではない。

「ダンス」が法律で規制されているってご存じですか?

現在の日本では、営業目的で「ダンス」をさせることが、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)という法律で規制されています。ダンスが許可制になり、さまざまな条件が設けられています。同法は、「風俗営業」を対象に、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持」することを目的にしています。

しかし、ダンスをすることが、風俗や環境を乱すというのでしょうか。

ここの最初の部分だけでミスリードの嵐だ。「営業目的でダンスをさせることが規制」はされていない。フジロックサマソニとかのイベントは風営法の対象ではない。呼びかけ人にいるくせにこれは汚い。風営法の適用内にある商売は以下の物だ。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO122.html
第二条  この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一  キヤバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業
二  待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
三  ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)
四  ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第一号若しくは前号に該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く。)
五  喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた客席における照度を十ルクス以下として営むもの(第一号から第三号までに掲げる営業として営むものを除く。)
六  喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
七  まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
八  スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

設備を設けた店舗型営業限定。性風俗に関しては補則があり、デリヘルなどの無店舗営業に関して許認可制が取られている。
ダンスは禁止されていないし、これによって被害を被っているのは今まで風営法の存在すら忘れていた「クラブ」だけだ。っていうか「風適法からダンスを外し」たらクラブは安泰だと思ってるのかね。消防法でも保健所でも迷惑条例で何でも、手入れを受ける可能性がある穴だらけの営業形態で。「表現の自由」とかそういうあいまいなもので権利を主張して自分らの落ち度には見ないふりをするのかね。


そういうやり方がクラブから健全な一般人を遠ざけ、マニアかつイリーガルさしか売りにするものがない場所になったという帰結にどれだけの音楽関係者が気づいているんだろうね。


アイドルの無銭イベントなんかは最近「へえ」って思うような場所で行われたりしている。行政やショッピングモールや村祭りに至るまで、自分たちが出演する場所を探すし自分達でも作る。そしてそこで大きな音を出し、客はそれに対して踊ったり声をあげたりする。クラブミュージックが太陽の下に出て来れないのは自分たちが閉じた世界を作ってしまったからだ。そしてシュリンクしていく世界の中でイリーガルに溺れ、結果社会から制裁を受ける。当り前じゃないか。
利己的な権利主張の前にやることがある。ダンスする場所がない?ダンスが禁止されてる?なぜ大げさに言うのかね。そこまでして守りたいものはなんだ。