違法ダウンロードの刑事罰化と「わかりやすい仮想敵」

さて。ついでにこのニュースというか今日の話か。
http://miau.jp/1338800400.phtml

私たちは違法ダウンロード刑事罰化に反対します

一般社団法人 インターネットユーザー協会(MIAU
6月6日(水)に開催される衆議院文部科学委員会において、著作権法改正案が議決されようとしています。その議決に際して、現在内閣発議立法(閣法)として提出されている改正案に『違法ダウンロード刑事罰化』を追加した修正案が自民党公明党から提出される見込みです。しかし以下の理由から、私たちは『違法ダウンロード刑事罰化』に反対します。

うん、まあ出てくる話だと思ってたよ。ただここでの提言されている内容はちょっと「?」って感じだ。

・摘発されるのは理解していない子どもたちです

2010年の著作権法改正で、違法にアップロードされた音楽・映像ファイルのダウンロードが違法とされました。権利者側が違法ダウンロードの主体と見なしているのは主に中高生ですが、その約半数が未だ、ダウンロードが違法になったことを知りません[*1]。このような状態で罰則をつければ、多くの「違法になったとは知らなかった」子どもたちが摘発の対象となります。子どもたちに教育を受けるチャンスを与える間もなく刑事罰化へと進むのは、あまりにも拙速であると考えます。

うん。そういう側面もあるかもしれないけど、意図的にとか組織的にやって金銭対価を得るようなことをやるのは大人だしね。子どもの弾圧という側面は言い過ぎだと思うよ。

・違法・合法の区別をつけることができません

インターネット上にある音楽・映像ファイルは、外見からは適法・違法の判別ができません。業界団体が合法ファイルダウンロードサイトを区別するために設定した「Lマーク」の周知も十分ではありません。また国外の事業者が運営するダウンロードサイトでは、合法であってもLマークを付ける責務はなく、Lマークによる区別が機能しません。

ここは納得。まあそうだよね。

・捜査権の濫用を招くおそれがあります

現在日本でも参加の是非が議論されているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)では、著作権侵害非親告罪化が要求項目に上がっています。すべての違法ダウンロード者を摘発するのは非現実的であり、「違法ダウンロードを行った疑いがある」という理由でコンピューターを押収するなど、著作権法を口実にした別件捜査に利用される余地が生まれ、著しく公平性を欠いた運用が行われるおそれがあります。また違法ダウンロードを見張るために、インターネットを広く監視することは、利用者のプライバシーの侵害に繋がります。

このインターネット上にはびこる「いけない!ルナ先生理論」は何とかならんか。一貫してればいいが「恐れがあります⇒プライバシーが(ry」につながる論法で真っ当な議論になったことがない。最終的に情緒の問題に持ち込まれて「そういうことを言うのは人としての心がない」みたいな冷静さを書いた議論になる。前にも後ろにも向かわずただ情緒のみが先走っている。

・慎重な議論が必要です

今回の違法ダウンロード刑罰化に関する法改正は、元々そのような内容を含まない閣法による改正案に、野党が議員立法による修正案として提出すると言われています。しかし本来、著作物の複製行為を規制する法律は、文化庁の審議会を通じて広く有識者や当事者間で十分な議論を行った上でパブリックコメントなどで国民の意見を反映し、正当なプロセスを経て慎重な意思決定を行うべきものです。今回の法改正は、常道を逸脱していると言わざるを得ません。

そう、慎重な議論が必要なんですよ。お互いに。プライバシーの問題を口にするなら「そもそもそのプライバシーの定義とは」を話しないといけない。「公平性」「別件捜査」とかにしてもそうだ。言葉の定義をあいまいにしたままセンセーショナルな問題にしたがる人間が多すぎる。


「わかりやすい仮想敵」を見つけてそれに情緒的に攻撃を仕掛けるのは活動家のやり口ですよ。