違法音楽ファイル検索のFluzoってどうなんでしょうか

さて。このニュース。

「違法音楽配信の根絶に大きな前進」JASRACなどが掲示板向けに新たな対策
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20120605_537706.html?ref=rss
日本音楽著作権協会JASRAC)や日本レコード協会RIAJ)など音楽権利者団体・企業8者は4日、新たな違法音楽配信対策を推進すると発表した。違法音楽ファイルのアップロードが顕著な無料レンタル掲示板やISP(以下、事業者)に対して、違法音楽ファイルを特定するモジュール「Fluzo-S」の導入を共同で働きかける。

 モジュールは「著作権情報集中処理機構(CDC)」が開発したデータベース「Fluzo」を活用したもの。FluzoはJASRACをはじめとする複数の著作権管理団体の権利情報を集約しており、音楽配信事業者は各団体の管理楽曲情報に一括してアクセスできる。これにより、これまで負担だった権利処理業務のコストを抑えられる。

ほう。一応仕組み図がこれ。

うん。意味がわからない。波形を読み取るってことか?そもそもFluzoって?



…これJ-WID(JASRACの既存データベース)と何が違うんだろう。イーライセンスとJRCダイキサウンドのデータベースが接続されて一つになりました!みたいな話なんだろうか。そもそもこの間に入ってるCDCってなんだ。

一般社団法人著作権情報集中処理機構
http://www.cdc.or.jp/
デジタルコンテンツ配信におけるこれからの市場拡大を目指すため、著作権情報処理フローの再構築(CDPR:Copyright Data Process Re-engineering)を行い、コンテンツプロバイダー及び著作権管理団体双方の円滑な処理を推進するための共通インフラとして、一般社団法人 著作権情報集中処理機構を設立することとなりました。

ああ、要するにモバイルコンテンツ業者から効率的に金をむしり取るための特殊法人ってわけだ。遅いよ。遅すぎる。もうモバイルコンテンツとしての音楽配信は夕暮れ時だ。着メロや着うたは滅びゆくメディアだ。そんなのに最適化された検索システムに何の需要がある。


で、今回話題のFluzo-sってのはどうやら先の図を見る限りgracenoteの情報を読み取ることが出来るというのが大きな違いらしいな。ちなみにgracenoteは元CDDB。「フリーで音楽の情報を共有して便利に使おう」という理念からスタートしたにもかかわらず知らぬ間に登録商標をとりライセンス料までむしり取る様になったあのgracenoteだ。しかも現在はソニー傘下。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/24/news026.html

リッピングした楽曲データのCDDB情報が残ってたらそのファイルを検索できるツール、っていうのがFluzo-sの正体みたいだね。ちなみに月額5万だそうな。


これ、何の役に立つんだろう。


おそらく推測するに、Fluzoを最初モバイルコンテンツ業者に売りつけようとしてたんだけど、導入が頭打ちになって、それを売りつける先をISPとかに変更したために生まれたツールっていうのが正直なとこだろう。でもこれって権利的に実に微妙なものだと思うよ。プロバイダは該当ファイルが公開状態にあるのかそうじゃないのかは判断しかねるだろうし、それに対して警告ないし削除を行うのにはしり込みするだろう。結局大っぴらにやってるやつらに警告をするのが限界になるだろうな。あとCDDB自体の信頼性の問題もある。管理団体信託楽曲ならいいだろうが、そうじゃないファイルは?あとCDDB情報を外してアップロードされたらどうなる?


まあ、ちょっと様子を見ようかと思うけど、こう言うのが「無駄な特殊法人」なんじゃないだろうか。