日本でWEB2.0と言う言葉は全滅するんじゃないでしょうか

さてさて。

昨日書いた著作権の話に関して。

ストレージサービスの問題についてもうちょっと調べてみたら、結構まずいと言うかよくわからないことが増えてきたので自分用整理メモ。

まず発端になった報道。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070525-00000119-mai-soci
イメージシティ社の「MYUTA」と言うサービスはストレージにユーザーが楽曲ファイルをアップロードし、アップロードしたユーザーのみが携帯電話にダウンロードできるサービス。
このサービスに対し、JASRACが提訴した。で、東京地裁は違法であると言う判決を下した、と。

で、この判決のキモになる言葉が「カラオケ法理」と言う言葉。別名「利用主体拡張法理」。ありていに言えば、著作物を利用する人間と、外見上著作権を利用していない人間の間に「支配、管理性」「利益の取得」という点で関係性が認められれば、両者を同一視してみなすと言う著作権法上の解釈。さらにありていに言うと、
1.カラオケは歌などの著作物を不特定多数に利用可能な場所を用意し、またそれによって対価を受けるべく経済活動を行う
2.カラオケに来る客が歌を歌う(著作物の利用主)
3.カラオケスナックは客より対価を得る
と言う状況下で、JASRACはカラオケ屋に著作権使用料を要求できるっていうものです。

そもそも著作物を利用したのは歌った人間であって、本来ならば、歌った人間に対して請求するべきものを、それが難しいと言う点から「利用主体を拡張」した論理なのです。

で、この法理がストレージにどう絡んでいくかと言うと、
1.イメージシティ社は楽曲をストレージにアップロードする機能を開発し、不特定多数が楽曲を複製可能な場所を提供した
2.ユーザーはそのサービスを用いて、ユーザーは楽曲を携帯電話に対して複製をした
3.イメージシティ社はこのサービスで広告料などの形で対価を得ている

と言う理屈を利用したと。

いやー、ストレージサービス全滅ですね。

社内で楽曲を共有するとかも、この理屈だとアウトですね。
この理屈、管理者側にすべての責任を押し付けられるすばらしく便利な理屈で、極端言えば、ISPが開設している無料HP作成サービスも、著作物をアップロードできる機能だと解釈すれば違法にできるかもしれませんね。WEB2.0なんてコンセプトの段階でもう全滅ですよ。

でもね、この話に目じりを上げてキーって怒るのも、またちょっと違う気もするんです。この判決自体はまるでインターネットそのものを理解してないし、ネットの良さを潰すものではあるかもしれない。ただ、「ネットの著作権は自由だ!」って極論で吠えちゃたらただの頭の足りないアナーキストだ。

著作権自体は、あるんですよ。そもそも。著作権はある、それに対する運用をどうするかの話なんです。JASRACはただの管理屋なんで、ここに対して目くじら立ててもあまり意味がない。JASRAC著作権に対して新たな運用方法を提示してくれないし、提示する立場にない。提示するのは著作権法。法律です。

著作権管理の仕方を変更することによってすばらしく話が進むこともあるかもしれませんが、それは根本的な解決にならない。時代に応じた著作権法に改正されないとまずい。そもそも、今の著作権法コピー機の普及した時代からまともに改正されてないんだから。まずはそこからですよね。

もしこの判決で日本のインターネットが最悪の状況になったら、こんな国見捨てて新しいところで何かやるまでですわ。またそれができるのが、インターネットのいいところでもあるわけで。既得権益なんぞにはつば吐きかけて、さっさと新しいこと考えたほうが健康的だと思う今日この頃です。