死にゆく音楽配信とiTunesCloudの中で音楽制作者が皆殺しに遭う
日経産業新聞からだそうですが。
Nobuko Yanagida @n_yana
日本の音楽配信業界、低迷続く。日本レコード協会が21日に発表した昨年の市場は10年比16%減の719億6100万円と2年連続の前年割れ。携帯からスマホへの急速な移行にサービス側が対応できておらず利用者離れ。CD販売の落ち込みを支える形で成長してきた市場が岐路。日経産業2.22
何度でも言いますが、ここで音楽配信は一度死ぬのでしょう。そもそも、今のパッケージ価格が高いから次は音楽配信という理屈は全く筋違いのものだ。音楽配信は、パッケージありきの二次使用というスタンスで行けるからこの価格になっているんだし。音楽配信専用に曲を作るというのはまるでコストに見合わないものだ。入ってくる金額を想像するといい。そもそも音楽配信にみんな夢見すぎなんだよ。見てみるといい。レコードショップなどは死屍累々でもう2度と復活は出来ないだろうよ。「音楽配信で儲かってる」なんて夢を見ている隙に、マーケット自体がとてつもなく小さくなってしまったのを見て見ぬふりをしてきたツケですよ。
iTunesCloudとか音楽制作者にしてみれば死刑宣告のようなサービスだと思うよ。
http://japanese.engadget.com/2012/02/21/itunes/
3G経由での楽曲購入に対応
高音質 & DRM フリーの iTunes Plus
購入済楽曲を他のデバイスでダウンロードできる iTunes in the Cloud
iPhone から着信音の直接購入
iTunes 用マスタリング楽曲 Mastered for iTunes
シングル購入済のアルバムを差額で購入できるコンプリート・マイ・アルバム
そして死刑宣告にさらに拍車をかけるのはitunesMatch。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120222_513763.html
アップルは、iTunes Matchを今年(2012年)後半に日本でもスタートする。(略)
自分のiTunesに登録されている楽曲と、iTunes Storeで販売されている楽曲のリストを突き合わせ、“マッチ”したものを「その人がiCloudで再生可能な曲」として、iCloud上のライブラリに追加。これにより様々なiOS機器やコンピューターで音楽ライブラリをネットワーク経由で同期できる。米国で展開されているiTunes Matchは有料サービスで、価格は年間24.99ドル。
「音楽は1曲単位で買いたい」という風潮が出てくる以上、制作費を何かしらでねん出するしかない。「今後の音楽はitunescloudが基本に!」なんてのは「音楽の製作コストは1/10に下げろという市場からの要請が!」というのと同義だ。さあ、マジで微妙になってきた。このサービスが栄えれば音楽制作側は死ぬし、栄えなければ音楽配信自体も死ぬ。どっちにしても今のままでは音楽は滅びへ向かうし、才能ある人間は音楽なんてものに興味を示さなくなるだろうね。
販売価格が大幅に下がるのが今後のトレンドだとして、それでもなんとかしようと思ったら制作費をねん出する方法を別に見つけるしかない。大きなパトロンが登場するのが最も理想的なのだが、まあなかなかそうもいかないだろうしね。
音楽業界は今のうちにcloudを利用して寄付金を集める仕組みでも作らないと死ぬだろうなあ。クリック募金じゃないけど、「次はこんなのを作ろうと思う」「こんなのがあるけど世に出したい」とかの要望からファンが寄付をするみたいな。で価格は現状のままで。DRMとか権利の縛りを入れるより、集金システムを先に研究しないと、この業界は末端から死んで行くんだろうなって思います。もう黄信号ですよ。あ、自分はまったく音楽業とは関係ない人間なんで他人事ですが。