呪い

最近ネットでこんなもんを読んだのだけど、非常に面白かった。
http://syarecowa.moo.jp/kanren/tatarareya.html
十中八九創作だろうし、馳星周かいといいたくなるような文体の言い回しが気になったりするものの、内容自体はとても面白い。特に朝鮮民族などに関する表現や、日本と韓国のかかわり的な部分と霊的な部分(またそれにまつわる統一教会(?)の存在)の交差するところなどはとてもスリリングで面白い。こりゃ雑誌や文芸誌じゃ無理だわ。ネットでしかできないよね。こんな話。
朝鮮民族にかけられた「呪い」的なものがテーマのひとつなのだろうが、この「呪い」的なものは日本にも存在するし、自分の好きな恐怖小説とかはやっぱテーマがその辺にあるものが多いな。
横溝正史の話は基本的に呪いの要素が強いな。八つ墓村なんてまさにそうだし。スティーブン・キングなんかは呪いを描くのが非常に上手い。その土地や社会、もしくは家族や集団に潜む風習やしきたりが不確かな恐怖を生み、それが現実とシンクロしてゆくさまがリアリティにつながっていく。なんとなく怖いお化けなどただのSFファンタジーに過ぎない。お化けは現実とシンクロすることによって初めて恐怖を身にまとう。
幽霊とかの話ではないが、ケッチャムとかもまさにその類だろう。「隣の家の少女」がなんでああもトラウマ的な破壊力を持つのかって言えば、その牧歌的な田舎の描写の中に潜む人間の悪意や感情、起こってほしくないのに起こってしまう環境的な必然がいやらしいまでの描写で迫ってくるからだ。目を背けたいのに背けられない、起こってほしくないことが必然的に起こるそのさまが心をえぐる。

まあ、自分の生活や周囲にも「呪い」は満ち溢れていて。田舎にいればなおさら「呪い」と付き合わなければならないことが多くなる。それを現実のものとして受け入れて生活してゆくのも人生だし、「呪い」を忌避するのも人生。でもどういう付き合い方をしていても現実に絡んでくるからこそ「呪い」。そのどうにもならない感じがあまりに生々しく「生きている」感じで、自分は「呪い」に興味を持ち続けている。