ベイエリア・スラッシュについてちょっと

 
 EXODUS、復活ですよ! DEATH ANGELも新作が出るんですって! そう、ここ最近、スラッシュメタルが熱い。特に「アホっぽい」とばかりいわれていた80'sベイエリア周辺のやつ。いわゆる「ベイエリア・クランチ」ですわ。もうかっこよくってしょうがない。フー・ファイターズのデイブ・グロールが全面的に趣味を炸裂させたPROBOT(http://d.hatena.ne.jp/komtarr/20031125参照)はベイエリアのみならずアメリカHC/HMの危険人物ばかりを集約させたすばらしい作品だったが、来てるんですよ。スラッシュが。
 メタリカの「セイント・アンガー」はその妙にザクザクしていてドラムの高音がきつい感じから、メタルファンの中には「あれは…無い」という意見もあったが、今考えると、なるほどとも思う。いわゆる「速い、重い、うるさい」の方法論に、緩急という技を用いて「ベイエリアスラッシュ四天王」の座から「世界最強」まで上り詰めたメタリカの皮膚感覚はここに着地しようとしていたのだ。スラッシュの暴力性を再びってことですよ。
 暴力の権化のようなものであったデス/ブラック・メタルも、はっと気づけばメロディック・デスやメロディック・スピード・メタルに侵食され、音のクオリティが上がった反面、音楽そのものの持つ暴力性は失われてきた。この暴力性というのは、メタル的には終わってしまったという部分もあるのですが、他ジャンルに目を向けてみると、スラッシュ的な暴力性はまだまだいけるのではないかと思うところもあるわけです。
 たとえばDHRやTIGERBEAT6の音は分解/再構築の産物だとはいえ、音楽のなかから新しいエネルギーを創造しようとしている。LOADのLIGHTNING BOLTだってそうだ。ただの初期ボアダムズという意見もあるが、即効的なパワーとエネルギーの爆発っぷりはすばらしい。
 ベイエリア・スラッシュの特徴はザクザクした音。切れ味は良くないが、鋸でぶん殴るようなイメージを想像していただきたい。暴力的と言うよりも「粗暴」という言葉がしっくり来る。で、この音楽はたぶん最近の音楽にはない肉体性を秘めている。今のうちに楽しんでみていただきたい。ともかくまずはEXODUSのファーストを聴いてみて。