ラジオスターもCDスターもいなくなったけどビデオスターが残った

さて。連発でエントリー書くとか何日ぶりだろう。

というのもtofubeatsa.k.a.ビーツさん)の最新MV見て結構感銘を受けましてね。

いいよねーこれ。tofubeatsの凄いところは「世代感」がつくれるとこだよね。「水星」にしても「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」にしてもホントこの時代のアンセム感ハンパない。ビーツジェネレーション。
ここで僕が使ってる「アンセム」って言葉は別に大ヒットした曲とかの定義ではなくって、どこまでこの時代を切り取ってるかって意味合いに近い。その時代を彩る「ポップスター」って別にどんな音楽やってるとか関係なくって、また周囲からは「あいつは本物じゃない」とか揶揄されたりもしたりするのかもしれないけど、ホント勝手に前に進んでいくんだよな。そういう意味ではtofubeatsは間違いなくポップスターだし、先鋭的だ。


さて、ミックステープ&フリーダウンロードの時代がここしばらく続いていた気がするのですが、ここにきて「その時代の潮目は過ぎたんじゃねえかな」なんて思い始めてます。

ミックステープ全体で世界観を演出できるプレイヤー/アーティストなんてほとんどいないし、クオリティの上昇を自然と求められる状況は「作ってすぐ出せる」っていうメリットを奪いつつある。

かといってダサいものやつまらないものではなく皆が「あっ」という作品を提供したい、そこで出てくるのがビデオなんだと思います。
そこでエポックとなる作品がこの2つ。160or80からのこれ。


これtrinitytiny1さんが「PV作りたいなー」なんてツイートしてた時から追っかけてましたし、「出来上がったらすげえことになるんだろうな」って思ってたけど、出来上がったらやっぱすごかった。特にネットニュースやメディアに対してのアプローチ力や話題性はほんと抜群だった。でも「AV女優が音楽ビデオに出演」くらいでは大して面白みはないはず。ここまで話題になるにはコンテンツ自体の強度、音楽+映像自体の強度が必須になる。性格良し子ちゃんの中の人が作るオマージュとこだわりとアイディアを裁断してブチ込んだようなこの作品はエロ目当てで来たご新規さんにも「おお?」って意外性や面白みを伝えるのに成功した。


多分、今後ネットでプロップスを受けるスターの中には「ラジオスターもCDスターでもなくビデオスター」が出てくるんだろう。アイディアとこだわりを表現するのに音源ではなく映像を駆使する人間も出てくるんだろうね。今後重要になってくるのだと思います。

「それってニコ動とかyoutuberのこと?」という声が聞こえたような気がしたが、あれとはちょっと僕の中でイメージが違う。「動画を販促の手段とする」とか「アピールの手段として動画を使う」のではなく、「動画自体を作品/コンテンツとして展開できるか」ということだ。かつて音楽PVの発表場所はMTVのような音楽専門チャンネルの独壇場だった。しかし多チャンネル化などの流れの中でMV自体の需要はマニアのものになろうとしていた。しかしyoutuberの例にとどまらず、発表した動画発表者にマネタイズの流れも生まれてきた。音楽制作者がCDやミックステープを作るがごとく、動画を制作しその中での拡散やマネタイズを狙うという流れも見えてきているのかもしれない。こんなのも出たしな。

ソニーリニアPCM録音×フルHD録画の“ミュージックビデオレコーダー”発売
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1310/11/news127.html


音楽発表の手段として「録音したものの販売」が今までは主流だった。録音したものの展開先としてはラジオ、家庭内オーディオ、有線放送、カーオーディオなど多数のものがあった。映像はあくまでも付属品だったし、映像でマネタイズをするという認識はあまりなかった。
バグルスが「Video Killed The Radio Star」を歌った時に見ていた未来像が誰もの手元に降りてくる日がもうすぐ近くに来ているのではないかなあ、なんてことを思ったりもするわけです。