市井紗耶香という人間を見ていると

 非常に複雑な気分だ。


 ひょんなことから有名人に。年相応に自尊心や欲も持つ。自分の力を試したがる10代後半。飛び出したところは既に廃墟で。自分をちやほやしてくれたはずの皆は遠くへいなくなってた。それでもしがみついてみる。先は見えない、後ろはもうない、友人は…どうだったんだろう。ともかく、最後に残った人は、隣にいた、貧乏なバンドマン。寂しさ。切なさ(刹那さ?)。後ろに引けない意地。おなかの中の小さな命に気づいたとき、意地だったものは「ただの」現実になっちゃった。でも彼女はそれでいいと思った。今までだって、自分は流れるままに生きてきた、人にどうこう言われることじゃない、今がいいならいいじゃない、人生はもう始まってるんだから…


 R.I.P.