麻生太郎、コミックを語る

http://www.chikuhou.or.jp/aso-taro/newspaper/030702-1.html

麻生太郎
生年月日:昭和15年9月20日
所属政党:自由民主党
選挙区:福岡県第8区
当選 :7回
学習院大学卒業後、スタンフォード大、ロンドン大学院に留学。帰国後に家業の麻生産業(現麻生セメント)に入社、炭鉱業からセメント業への転換を成功させた。日本青年会議所会頭時代は民間外交を積極的に推進。祖父は故吉田茂元首相、父の故太賀吉も衆議院議員と政治一家だが、衆議院初当選は父引退の14年後。「タロー」の愛称で親しまれる自らの人柄で熱烈な支持を集めてきた。国内各界のほか米国など海外にも幅広い人脈を持つ。特技の射撃はメキシコ国際大会優勝、モントリオール五輪にも出場し、ゴルフも得意。
一男一女の良き父でもある。

…すばらしい略歴。家柄も申し分ない。ただこの人、とんでもないマンガ好きらしい。

今、どれくらいお読みになってるんですか、コミック誌は?


麻生 え〜、「マガジン」「ジャンプ」「サンデー」「チャンピオン」。厚いやつが4つ。それから、「ビッグコミック」「オリジナル」「スペリオール」「スピリッツ」「モーニング」。あ〜、「ヤングジャンプ」「ビジネスジャンプ」。まだありますよ。

…すげぇ。自分と大して変わらん。自分は立ち読み専門だけど。渋谷のコミックステーションに出没する話とか、なかなか笑える。
 しかしそれ以上に、この人のマンガに対する分析はなかなか鋭い。いくつか抜粋で。

麻生 最近のコミックですか?主人公のキャラクターが、なんとなく輝いていないような感じがしますね。チーム組んで、キャラクター作りやってるって話じゃないですか。そのせいじゃないかな、と僕は分析してるんですけどね(笑)。

確かに、「キャラ立ち」「キャラ設定」などはここ最近重要視されているとは感じる。最近のマガジンとかジャンプのマンガには、スタートする時点で「こういうキャラを作って、こういう行動をさせて…」という方程式みたいのがあるんじゃないか、なんて思うときもある。ストーリーがキャラをコントロールするのではなく、キャラにストーリーをなぞらせるマンガは多い。麻生先生なかなか鋭い分析だ。

こんなことも言っている。

麻生 ポケモン。『ポケットモンスター』。あのいちばんおもしろいところって、あれ、しゃべんないんですよ。ポケットモンスター自体はしゃべんない。だけど、ちゃんと意志が疎通するわけですよ。これはね、完全に日本のカルチャーなんですよ。「ピカッチュウ」と「ピカッピカッチュウ」、このふたつで全部通じる世界でしょ。アメリカ人にとっちゃあ、全く考えられない世界ですよ。その影響するところ、ものすごく大きいと思うけどね。

また、そういうことは全く考えてなかったんで面白いです、といったインタビューアーに対し、

麻生 ちっともおもしろくない。見てりゃ分かるって。今、世界のロボットのシェア、80パーセントくらい押さえてると思いますけど。ロボットって、もともと、チェコスロバキア語で“強制労働”っていう意味なんですよ、“ロボッタ”っていうんですけど。ですからヨーロッパでは、ロボットが発達することによって、ロボットが人間に取って代わる、とかいうようなイメージができあがった。ところが日本の場合は、例えば手塚治虫さんの『鉄腕アトム』とか、横山光輝さんの『鉄人28号』とか、藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』とかね。ロボットは人間が困った時に助けてくれるものっていうイメージを作り上げた。

メトロポリス」は西洋的発想、それに対しての「ドラえもん」「鉄人28号」か。それが日本のロボットのシェアを作り上げたということか。また「ポケモン」が言葉を用いないで意思の疎通をするのを、日本独自のカルチャーとする考え方はなかなか面白い。要するに「阿吽の呼吸」とかの考え方と通じるということなのだろうか。このあと、「手塚治虫国民栄誉賞を贈ろうとしたけど、反対があってできなかった」という話になったのだが、麻生先生は日本のロボット観はマンガによって作り上げられたものだと熱弁を振るっていた。
 ともかく麻生太郎、マンガに対してなかなかの論客。朝生とかで怒り散らしてた姿からは想像もつかない。ぜひ麻生先生にはBSマンガ夜話とかにも出てほしいものだ。サブカル以外の視点からのマンガ批評は今一番興味があるので。