WORLD INDEPENDENT NETWORKS JAPAN

http://www.winj.jp/
「1月から始まる「WORLD INDEPENDENT NETWORKS」とは、民放のマスマーケットにおもねる番組とは違った、カルチャー、サブカルチャー、アート、ファッション界を中心とした海外アーティストに番組プロデュースから選曲まで、独自のスタイルで提供していく従来にはない音楽放送局です。」
だそうな。
 もし本当だとすれば、とんでもない放送局になることは間違いない。ちなみに今現在オフィシャルで発表されているプロデューサーはVINCENT GALLO。月曜担当ということ。
 それ以外のプロデューサーは今オフィシャルでは発表されてないが、噂ではALAN McGIE、FATBOY SLIM、YUEN SPENCER(現代美術の人らしい。先日オペラシティでやってたTOKYO-UK JAM展にも出品していたとか。つーか見てるはず。でも覚えてない)、KENNY SHYNOLA(RADIOHEAD"PYRAMID SONG"やらU.N.K.L.E.やらQUEEN OF THE STONE AGEやらのクリップなどを作った映像作家)、CHRISTIAN BIECHER(パリコレのオープニングパーティーのプロデュースなどもやったパリの人気デザイナー)、あとなぜかDEEP FORESTが参加するとのこと。
 理念は、すばらしい。自分もおもしろいなって思うし。ただ、少しだけ不安がよぎる。ここで参加している人は既に作家であり、自分の世界観をきっちり持ってしまっている人たちだということだ。ギャロに「最近の流行りを押さえた感じでお願いします」なんてお願いしたらクソみたいな番組ができるんだろうし、そうじゃなきゃプログレ三昧になることだろう。それはそれで面白いのだが。
 じゃ、どうしたらいいのか?そんなことをつらつら考えてたら、なぜかピーター・バラカンを思い出した。あの人は作家じゃない。でも一貫したセンスと時代を見る目で、ラジオやテレビで確実な印象を残し、評価も勝ち得てきた。
 山のように音楽も文化も存在するし、今となってしまってはメジャーとインディペンデントの境目すらも存在しない。そういう時こそ、「紹介者」という存在は大事なのではないか。「ナビゲーター」と言い換えてもいい。最先端を知りたいわけではない。今何がおこってるかが知りたい、というのがこういう企画を望む視聴者の正直なところなのではないか。
 スペースシャワーがクソつまらなくなったのは、大企業のプロモーションキットに成り下がったからだが、それ以上に「何をすすめたいのかが判然としない」所にあるのではないかとも思う。そういう意味ではこのWINJは期待できる。しかし、「何か最先端らしいけどわけわかんない」物になる危険も大きくはらんでいる。一言でいうなら「スノッブ」だ。視聴者を無視したメディアが栄えた試しはない。この企画の大元であるst.gigaはいい例だろう。情報の洪水は意味がないということはそこで学んだはずではないのか。そこで「一貫したセンスをもうければ一つの指針になるはず」と考えたのは大正解だと思うのだが、あまりに漠然とした指針過ぎる。
 まあ、それが「独自の指針」というのであれば、それに口を挟む余地はないのだが。
 ともかく、始まってみないとなんともいえないが、無邪気なインディペンデント幻想は21世紀とともに崩壊したものだと思っていたので急にこんな企画が持ち上がってきてびっくりしてるというのが正直なところ。さてどうなることやら。