WAVEが逝ってしまった

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初めて入ったWAVEは渋谷店だった。クアトロに行く前の現在コムサが入ってるとこ。その頃中坊だった自分はなけなしの小遣い抱えて震えながら入ったもんだった。中坊の自分には高すぎる試聴機、POPの意味不明感、ワールドミュージックコーナーの敷居の高さ、全てが異次元だった。結局よくわからぬままレコードを数枚買っていったのだが、その中の一枚が、あとでそれがXLレコーディングスのファーストリリースの12インチだってことを知った。まだハードコアテクノブレイクビーツもボディも流行として出てくる前だ。よくよく思い出してみれば、あの時隣に並んでたのはミニストリーの「Twitch」だった気がする。
並んでるレコードの意味不明さに震えながら「大人感」「玄人感」は一番だった。なんだかんだで毎年通った。渋谷に並んでたものが何となくわかってきた後に、六本木WAVEに行った。そしたらこちらも意味不明。あそこの「玄人おしゃれ感」は異常だった。ジプシー・キングスとかオフラ・ハザとかあそこで知ったんじゃないかなあ。リブロやシネヴィヴァンも覗いてその空気感を感じようとしてたなあ。
決して親しみやすい店ではなかったけど、発見は山ほどあった。「WAVEがわかる通になること」がすごいと思っていた世代です。自分は。


でも15年前位からかなあ、なんかWAVEから足が遠のいてた。店頭にタワーやHMVと同じアーティストのPOPが並んでるようになってから、行かなくなった。タワーやHMVはポイント付いてたしねえ。どっちが安いかで言えばタワーとかレコファンとかの方が安かったし。今考えるとあの頃セゾングループ解体の時期だったのね。でも何となくWAVEはエッジな場所という刷りこみだけは残ってた。でもなんか昔と違うんだよねー、なんて思いながら。今考えると、あの時期くらいからWAVEでは発見が無くなったんだなあ。


で「今ではamazonで色々発見してます!!」とかではない。正直、WAVEの代わりになるような店はいまだにないんですよ。特定のジャンルに詳しい店ならいくらもあるし、WAVEが無くなった後専門店は山のようにできた。ネットショップもいくらでもある。でも、いるだけで発見をさせてくれるような場所はなかった。ああ、個人的にはあまり好きではないが、あえて言うなら、ヴィレッジヴァンガードはまだそういうテイストを残してるんだろうか。ただ「よくわからないけど最先端」というあの空気。あの空気はもう二度と味わえないんだろうか。


親しみやすさや便利さが全てではなく、それは価値観を生むことはない。何もかもを含めた「空気感」に価値があった。その空気感を失った瞬間にただの店になった。そして軸をぶらし続けて、今日WAVEが死んだ。嗚呼、嗚呼。