直滑降

プチ家出とも言うべき車上生活に突入してからもう3ヶ月はたつ。
夕方から仕事して、朝終わって、車で海にでも行く。そこまでの間に眠気が襲えばコンビニで仮眠。そんな生活。
まあ、最初は意味などなく、自分が好きな音楽でも聴きたいからという理由だった。さすがに朝の5時にLIP CREAMやらLAIBACHを大音量では聴けない。朝の光の中で聴くにはあまりに不憫な音楽ばっかりだ。世間にフラストレーションを撒き散らしているような気分になる。
いや、本当はフラストレーションを撒き散らしたいのだ。酒で不安を押し流したり、人と会って自分の輪郭を確かめたりしたい。そんなことしながら自分のフラストレーションを薄めたり撒き散らしたりしたい。
でも、朝の光ってのは不思議なもんだ。リセット機能があるんだろうな。朝の光の中で酒を飲みたくもないし、自分と向き合ったりもしたくない。否が応にも今日という日が始まるぞと背中を押してくるのだ。朝の光ってやつは。
かといって、カーテンを閉め、夜を装うのもできない。あまりに鬱な気分になりすぎる。
車というアイテムはそんな気持ちを解決してくれるには最高だったのだ。漫画の「ホムンクルス」のような生活。車の中で丸まって眠る名越の気持ちはわからないでもない。道具でもなく家でもなく、ゆりかごとしての車。

ただ漠然と走る車の中で考えることって、あまり楽しいことがない気がする。車に乗っている間ずっとなんとなくの不安感と、追い回されてるような気持ちと戦っている。追いかけても先は見えず、追い回されるのに疲れれば眠る。そして仕事に戻る。そんな生活。