完成品に対する違和感(死に至る中二病)

さて昔話でもしますか。

よくあるじゃないですか、「音楽史上最高の名盤ランキング」みたいなやつ。だいたいビートルズのサージェントペパーズが一位だったりするあれ。
昔ああいうの大好きだったんですよ。ほんと。情報に飢えてたからねぇ。これが素晴らしいレコード群なのか!と思うだけで、なぜか心沸き立つ思いがしたものです。
でも、結局サージェントペパーズは好きになれなかった。自分にとってのビートルズ一位は「マジカル・ミステリー・ツアー」。もうね、ダントツ。揺るぎなし。ザ・ベストテンにおける寺尾聡の「ルビーの指輪」ぐらいずっと一位。特別の椅子も用意してますとも。
まあ、何の話をしたいかって言うと「よくできた名盤」的なものがどうしても肌になじまんのです。
それでもやはりいいものはいい。ヴェルヴェッツは当然バナナだし、ツェッペリンは4だしなぁ。でもフーは「トミー」。ここは譲れない。ここまで考えてみると自分の趣味趣向の傾向がちょっとずつ見えてくる気もしますが、もう少しお付き合いを。
ソフトロックがなじめなかったんです。本当に。フリーソウルもしかり。最初は「こんなものもあったのか!」という驚きがあったんですけど、あれを持ち上げる傾向には辟易していたんですよ。まあ、なんと言いますか「地味で小粒」なんですよ。
「小粒だけど品質がよい」のと「大雑把で品質が悪い」のとどちらがいいか。消費者たる人間、自分の限られたお金を大事に使わないといけません。当然品質のよいものを・・・と、なるはずなのですが、自分が好み金を出すのは明らかに後者です。

よく出来た物ほど、人間くささを感じなくなるからなんでしょうね。作った人間の迷いも悩みも暴走も迷走もすべて見えるような音楽が好きで、またそういったミュージシャンが好きです。
また物によっては明らかに時代の徒花、「何でこんなもんはやっちまったんだろ」的なものもあります。そういうのも大好き。その時代の悩みや迷走を一身に体現している気がするから。

まあ、つまり「自分が完成されていないと思っているから音楽にもその悩みや破綻を投影する傾向にある」ってことなんですかね。中二じゃないですか。いいかげんいい年なんだから「やっぱジャズだよね」とか言ってみたいです。ジャズを肴に女の子を口説いてみたいです。でもまだ出来ません。32なのにバンプ聴いてる。ああ、年をとるって難しい。