マイアミ顔面食いゾンビと”バスソルト”について


佐々木俊尚氏がまとめてくれたCBSニュースの解説より。

https://www.facebook.com/sasaki.toshinao/posts/114142788724107
 カニバル事件で射殺されたルーディ・ユージン容疑者は、31歳黒人ホームレス男性。高校時代はフットボールの選手だったそうです。2005年に結婚、2年後離婚。CBSによると最近マイアミでは「バスソルト」という新型のLSDが出現し、これは高熱を生じさせ、人を凶暴にし、譫妄状態に。さらい口と歯を使って人を噛みつき攻撃するケースも報告されています。そしてものすごく身体も強くなり、150ポンドの患者を6人がかりで抑えつけたこともあったと病院関係者が証言しています。「150ポンドの患者が250ポンドに感じた」と。

 犯行当日ユージン容疑者は午前2時に突然恋人の家を出て行きました。クルマで友人宅に向かい、午前6時に「イベントに行こう」と誘ったが断られ「ひとりで行くよ」と言い残して家を出て行きました。

 途中車を乗り捨て、3マイル以上離れた犯行現場まで歩いて行ったようです。非常に暑い日で、途中衣類を次々脱ぎ捨てた跡が残っていました。免許証も捨てられていました。そして午後2時、被害者と遭遇。

 犯行現場でユージン容疑者は、一面識もない68歳の老ホームレス、ロバート・ポッポに襲いかかりました。監視カメラには、被害者のズボンを脱がそうとするユージンの映像が。その後警察に見つかるまで何が起きたのかは不明ですが、通りがかった自転車の人が「裸の男が人を殴ってた」と証言しています。

 その後映像で確認されてるのは、警察官が現場で裸の2人を発見したところからです。警官は、ユージンがもうひとりの顔を歯でむしり取っているのを見て銃を構えて「やめろ!」と叫びました。しかしユージンは顔を上げてうなり声を上げただけで行為をやめませんでした。それで警官は銃を発射。最初の一発は当たりませんでしたが、続けて銃撃し射殺しました。

下のリンクはその射殺された犯人と顔面食われたホームレスの写真。
強烈にグロなので見るときは要注意でお願いします。


さて。その犯人というか、ゾンビドラッグとも言うべき「バスソルト」ですが、おそらく主成分はMDPVという化合物。MDMAのように脳内ホルモンに作用するが、効き方はもっとコカイン寄りとの話。そして効き目耐性も100倍ってとこですか。
(5/31追記:ドラッグ名が「バスソルト」なのではなく、「バスソルト」の皮をかぶった合成麻薬の事件です。詳細は次エントリにまとめました。)

http://33765910.at.webry.info/201103/article_7.html
この物質の使われ方、フリーベース、その他はコカインに非常によく似ているようです。非常に活性が強く、低容量でも作用します。
2.5mg-5mgの経口投与では、メチルフェニデート(リタリン)類似の軽度の覚醒作用、作業能率の向上、多弁などが見られます。副作用として、パニック発作や不安などが現れることもあり、作用は3-6時間ほど続きます。
より強い作用を得るために、塩酸塩からフリーベースを生成して喫煙する方法が用いられ、この場合わずか2mg(一般的に、覚せい剤で30mg、コカインで50-100mgとされます)の用量でも強い多幸感(いわゆるラッシュ)、万能感、性的高揚などをもたらしますが、耐性形成は非常に早く、やがて使用量は100倍ほどまで増えることさえあります。
薬が切れると、極度の渇望に襲われます。同じことを何度も繰り返したり(常同行動)、話し続ける、多動などの異常行動を招きます。
また、用量を過ると心臓発作を起こしたり、極度の不安に襲われ、慢性的な使用はドパミン神経の過剰反応からくる幻覚・妄想など精神病症状をもたらします。

そして去年の頭にはすでに今回のゾンビドラッグにつながる気持ちの悪い事件が起きていた。

http://33765910.at.webry.info/201101/article_15.html
●当局によれば「バスソルト」による薬物問題が広がっている
記事が取り上げるのは、「バスソルト」として販売されていた脱法ドラッグを使って幻覚に陥り、自分の顔や腹部をナイフで何度も突いた男性です。彼は、これまでいろんな薬物を使ったが、これほど恐ろしい幻覚を経験したことはないといいます。幸い、この男性は一命を取り留めましたが、いま米国ではこの種の脱法ドラッグに関係した事故が相次いでおり、死亡事故も報告されています。
この脱法ドラッグは、「アイボリー・ウェーブ」などの名前で、バスソルトや植物の栄養剤と称して、インターネットやコンビニで販売されています。内容はMDPVやメフェドロンといった中枢神経興奮作用のある薬物です。
カリフォルニアの中毒センターが、この薬物に関係する通報を最初に受けたのは昨年10月のこと、その後すでに10件を越える通報が寄せられているとか。ルイジアナ州では、2010年10月から12月の3か月間で、州の中毒センターが受け付けた通報が125件に達しましたが、1月に禁止措置がとられて、通報件数は激減したといいます。いくつかの州では、この薬物の禁止を検討し始めています(記事の概要)。
[出典]
CBS>Officials: 'Bath Salts' Are Growing Drug Problem(Jan. 23, 2011)
http://www.cbsnews.com/stories/2011/01/22/ap/national/main7272311.shtml?tag=mncol;lst;4

ここで出てくるIvory Wave。2gで3000円程度で取引されていたらしい。別名リスト。
http://www.doctoroz.com/videos/alternate-names-bath-salt-drug


いわゆる「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」の流れから流行ったものらしいが、一言で言っとく。やめとけ。マジであんなぐちゃぐちゃに混ぜた気持ちの悪い薬を飲んでいいことなんて一つもない。
ロシアのkrokodilも相当気持ちの悪い薬(実質ヨウ素とボンドを血管に直に入れてるようなドラッグ)だったが、ああいう風になるぞ。正直内容的にはあんま変わらん気もするぞ。
http://birthofblues.livedoor.biz/archives/51307865.html


それにしてもここにきて「安くて」「(効き目が)短くて」「(切れるのは)近い」ドラッグがまた大流行してる気がします。本当に行き場がないと刹那的なドラッグにハマるという傾向は社会的には見られる話ですが、アメリカのガチの病理を見ているようで薄気味悪い話です。


一応続編:バスソルトに代表される「脱法ドラッグ」と「デザイナーズドラッグ」と「吐きだめの悪魔」